波とライフスタイル

水が巡る故郷~Surfing is good for you~

僕が生まれ育った町は四国・徳島県の最南端、海部郡海陽町というところです。
その名の通り海と共に人々の暮らしがあり、近くには漁師さんたちが生活を営む漁港や、全国的にも名の知れた釣りやサーフィン・ダイビングなどのポイントが点在しています。
さらにこの地は海と山が隣接し、山々から流れ出る清水が一本の川となって河口・海へと繋がっているのですが、その流域にダムがない国内では希少な清流とされています。

そんな素晴らしい土地に生まれ育ったわけですが、
プロサーファーであった父親やその周りの影響で僕は中学生の頃地元の海でサーフィンに出会い、以来すっかり波乗りの世界にのめり込むことに・・・
高校は放課後海に行けるよう家から一番近い学校、大学は千葉の海沿いにあり日本一のサーフィン部がある学校。卒業後プロのコンテスト活動を断念した後もサーフィンをしたいがために就職はせず、季節労働者として色々な職場で働きながら、湘南、沖縄、東京、カリフォルニア、ハワイ、オーストラリア、ニュージーランドなどサーフボードとギター片手に国内外様々な場所を旅したり暮らしたりしてきました。
様々な土地で様々な人に会い、サーフィンや音楽や仲間を通して僕をとりまく世界は大きく広がりはじめ、その中でたくさんの御縁を頂き貴重な経験も積ませてもらい、本当に旅や見知らぬ土地での生活は楽しく、経済的には不安定だったため正直不安とも戦いながらの毎日ではありましたが、それでも充実した日々を過ごしてきました。

ただ、その間も年に一度だけ、夏から秋の台風シーズンにだけは地元に帰るようにしていました、理由は故郷海部川河口の波に乗るためです。
外の世界に惹かれ離れている間も常に故郷に対する思いが心のどこかにありましたが、
僕のそれは他人様より少し強かったように思います、そして、その大きな要因が海部川河口の美しい波の存在であったのは間違いないでしょう・・・


河口というのはたいていの場合海底が岸から一気に深く潜り込み、波が押し寄せてもサーフィンができるような綺麗な崩れ方をしない地形になっているのですが、梅雨時期の大雨・洪水で河川の砂利が一気に海へと放出された時に限り、流れ出た砂利が海底を埋め尽くし自然に遠浅の地形になります。

その状態でそこに台風などの影響で大きな波が押し寄せると、海外の写真で見るような美しい水のトンネルが生み出されます。
チューブと呼ばれるその水のトンネルの中はまさにパラレルワールド、
一切の音が遮断され、視界に入るのは流れ落ちる水のカーテンと、その先に見える外の世界へと通じる丸い出口だけ。自然と己が完全に一体化するのを強く感じる瞬間。

サーフィンの真髄はチューブにありとも言われますが、
僕もこのチューブを極めたいと願うサーフジャンキーの一人で、
海から離れて暮らしていると夢の中にチューブの景色が出てくるほどです<笑>
Only a surfers know the feeling.という言葉もあり、
まさに言葉では伝えきれない、やった者にしか味わえない至福の瞬間がそこにはあります。

そんなこんなで根なし草浮浪サーファー生活を続けながらも、
心が常に故郷から離れずいられたのはそんな美しい河口の波の存在でした。

その後、旅先の沖縄で現在の妻と出会い、根なし草にも根を張る時期が訪れるわけですが、そこで僕が選んだ場所はもちろん故郷海陽町でした。
そして、地元に腰を据えて暮らし始めると、サーフィン以外に今まで気付いていなかった故郷に存在する面白い場所や人々に出会う機会が増え、特に山師、漁師、百姓さんとの交流で多くの学びを得ることが増え始めました。
百姓さんたちは日々の生業、生活の中で水や土の大切さをごく自然に理解しています。
山師さんは山の生態系が壊れることで、山が本来持つ保水力が失われ鉄砲水や洪水が増えたり、水量が減少したりと川の環境が悪化し、川の異変がしいては河口や海で生きる生態系へ影響していくことを理解しています。
漁師さんは海で魚が捕れるのは山から流れる水が海に豊富な栄養を運んでくれるからということを理解しており、そのため年に一度は川の源流の滝までお礼参りに訪れます。

そういった話を聞いた上で、改めて自分が携わるサーフィンという世界を考えてみると、
僕らサーファーもまた、雨、山、川、海、空と水が循環することによって生み出される“波”という自然の恩恵を与えられていることに気付くことができます。

海水が太陽に照らされ蒸発し上空で雲になる、
雲は流れ流れてやがて雨となって山々や大地に降り注ぐ、
降り注いだ雨は川となり大地を流れてやがてまた海へと還りつく。
海の水は温度差による気圧の変化で生まれる風によってうねりとなり大地に押し寄せる。
川から流れでた砂利が生み出した遠浅の海岸にうねりがぶつかり美しい波が生まれる。

太陽から始まり宇宙規模で永続する自然の壮大な仕組み、
この水の惑星地球ではそんな水の循環がすべての生き物の肉体的、精神的生命活動を支えているといっても過言ではありません。

そして、
そんな水の循環を身近に感じる場所、海の水と川の水が再び交わる場所、
それが僕たちが普段サーフィンを楽しんでいる河口だと気付いた時、
僕はまたさらに深く、海と山が隣り合わせるこの土地を好きになりました。

現在僕は天然藍染&縫製の仕事に関わりながら、仕事の合間にサーフィンしたり川に行ったり、年に一度ある水源の滝の神社のお祭りに参加させてもらったり、
山の環境を取り戻すため植林などをされている地元諸先輩方の活動に参加したり、と、マイペースながらも故郷の再考&発信をしながら、
海と地元を愛する者の一人として自分にできることを一つ一つ探して実践していこうと奮闘しています。

今回は御縁を頂いてこのような勝手気ままな自己満コラムを書かせて頂きましたが、万に一人でもこの記事を読んでくれた方がサーフィンや海陽町、
しいてはそれぞれの故郷や地球環境に興味を抱いてくれれば幸いです。

人生日々パドル*
海でも社会でも常に色々な波が押し寄せてきます、
でも、荒波に負けずに常に沖を目指して漕ぎ続けていれば、
いつか必ずいい波に乗れる時が来る。

波乗りから繋がる縁、そして自然から教わる智慧は無数にある。
それを人間社会にも活かしていけばきっと世の中や自分の人生はもっともっとよくなるでしょう。

Surfing is good for you,
Feel the nature, Keep paddling.


感謝*

2013年6月21日

永原 レキ
(最終更新:04/15 01:54)

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著者 … Nagahara Leki

Leki Nagahara Living in far south of tokushima shikokuisland lovin' my country, nature&culture* 阿波の南で色々想いながら生きてます、 海山川&波♪ ここは今日も綺麗です*

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㈱トータス 303SURFBOARDS

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